水野美術館について
水野美術館は、
実業家・故 水野正幸が長年かけて蒐集したコレクションをもとに、
2002(平成14年7月)に開館した日本画専門の美術館です。
開館における水野正幸挨拶
日本画の醸し出す奥深い世界に魅せられ、仕事の合間にあちこちの美術館を巡り歩くうちに、この素晴らしさを多くの方々と共有できないものだろうか・・・と、考えるようになりました。 思いが固まり美術館を創設しようと決めたのが、平成元年頃のことになります。
以来、絵画をとおして日本画の重鎮たちとの様々な出会いがありました。
橋本雅邦、横山大観、菱田春草、下村観山、川合玉堂ら、絵の前に立った瞬間、全身に鳥肌が立つほどの感動を覚えた名品も少なくありません。
私は常々、美術品は人類の何にも替えがたい資産であり、分かち合ってこそ意義のあるものと考えております。
当美術館が皆様の心のオアシスとなり、信州の地域文化発展と芸術意識向上の一助となれば、この上ない喜びでございます。
また、美術館の建設にあたっては、最高の環境で絵画を鑑賞していただきたいと、前庭に本格日本庭園を設けました。
木曽五木と呼ばれる信州の銘木を配した深山閑寂の趣を、時の流れとともに刻々と変わる自然の営みを、一作品として鑑賞いただければ幸いです。
なぜ日本画なのか ―
美術館創設にあたり、多くの皆様から受けた質問です。
これに対し、私はいつも
日本人だから ―
と答えております。
平成14年7月
水野正幸
水野正幸プロフィール
昭和15年 1月 | 長野県埴科郡(現千曲市)戸倉町に生まれる |
昭和39年 7月 | デラップス商事株式会社(現 ホクト株式会社)設立 |
平成 9年 7月 | 紺綬褒章を受章 |
平成14年 7月 | 財団法人 水野美術館 設立 理事長に就任 |
平成14年 9月 | 「ホクト株式会社」に呼称変更(翌年10月商号変更) |
平成21年 1月16日 | 逝去 享年69歳 |
建物について
設計には、「日本画の素晴らしさをじっくりと味わえる美術館に」と、水野が長年一鑑賞者として全国各地の美術館を巡った経験が存分に活かされています。
蔵をイメージした落ち着いた外観は、周囲の景観に自然と溶け込むような佇まいです。日本庭園を望むロビーを抜け、最初の展示室の入り口に立つと重厚な木の自動扉が開き、畳の芳しい香りとともに、作品が眼前に飛び込んでくる演出は特にこだわったもので、鑑賞者を非日常的な世界へと誘ってくれます。
他にも、ガラスケースの向かい側をすべて壁面にし、鑑賞の妨げになる映り込みをなくした回廊状の展示室や、屏風作品や大幅の軸作品を無理なく展示できる大型のガラスケース、靴音が響かない絨毯敷きのフロアなど、静かに作品と向き合える鑑賞環境を整えています。
庭園について
美術館前には、豊かな緑や季節ごとに咲く花々が美しい700坪の日本庭園を設けています。
木曽五木(ヒノキ・サワラ・コウヤマキ・ネズコ・アスナロ)や松、庭石などは水野が自ら全国各地を巡って選定したものです。四季折々に変化する絵画作品のひとつとしてご覧いただけます。