
日本画の醸し出す奥深い世界に魅せられ、仕事の合間にあちこちの美術館を巡り歩くうちに、この素晴らしさを多くの方々と共有できないものだろうか・・・と、考えるようになりました。
思いが固まり美術館を創設しようと決めたのが、平成元年頃のことになります。
以来、絵画をとおして日本画の重鎮たちとの様々な出会いがありました。
橋本雅邦、横山大観、菱田春草、下村観山、川合玉堂ら、絵の前に立った瞬間、全身に鳥肌が立つほどの感動を覚えた名品も少なくありません。
私は常々、美術品は人類の何にも替えがたい資産であり、分かち合ってこそ意義のあるものと考えております。
当美術館が皆様の心のオアシスとなり、信州の地域文化発展と芸術意識向上の一助となれば、この上ない喜びでございます。
また、美術館の建設にあたっては、最高の環境で絵画を鑑賞していただきたいと、前庭に本格日本庭園を設けました。
木曽五木と呼ばれる信州の銘木を配した深山閑寂の趣を、時の流れとともに刻々と変わる自然の営みを、一作品として鑑賞いただければ幸いです。
なぜ日本画なのか―
美術館創設にあたり、多くの皆様から受けた質問です。
これに対し、私はいつも
日本人だから―
と答えております。
平成14年7月
理事長 水野正幸
設計には、「日本画の素晴らしさをじっくりと味わえる美術館に」と、水野が長年一鑑賞者として全国各地の美術館を巡った経験が存分に活かされています。
蔵をイメージした落着いた外観は、周囲の景観に自然と溶け込むような佇まいです。日本庭園を望むロビーを抜け、最初の展示室の入り口に立つと、重厚な木の自動扉が開き、畳の芳しい香りとともに、作品が眼前に飛び込んでくる演出は、特にこだわったもので、鑑賞者を非日常的な世界へと誘ってくれます。
他にも、ガラスケースの向かい側をすべて壁面にし、鑑賞の妨げになる映り込みをなくした回廊状の展示室や、屏風作品や大幅の軸作品を無理なく展示できる大型のガラスケース、靴音が響かない絨毯敷きのフロアなど、静かに作品と向き合える鑑賞環境を整えています。
美術館前には、豊かな緑や季節ごとに咲く花々が美しい700坪の本格日本庭園を設けています。
木曽五木(ヒノキ・サワラ・コウヤマキ・ネズコ・アスナロ)や松、庭石などは水野が自ら全国各地を巡って選定したものです。四季折々に変化する絵画作品のひとつとしてご覧いただけます。
平素は当館の活動にご理解、ご支援を賜り、誠にありがとうございます。当館は、長野県知事より「公益財団法人」の認定を受け、平成23年6月1日付をもって、「公益財団法人 水野美術館」に法人組織を移行しました。
今後、さらに収蔵作品の充実を図るべく、作品の購入資金のための寄附金を募っております。
皆様からのあたたかいご支援をよろしくお願い申し上げます。
寄附方法 | 一口一万円 |
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寄附金 | 寄附金は、直接当館受付にご持参いただくか、銀行振り込みでお願いいたします。 詳しくは美術館受付までお問い合わせください。 |